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研究集会

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ワークショップ「幾何解析と離散幾何」(Workshop on Geometric Analysis and Discrete Geometry) 第1回「極小曲面・離散曲面への複素解析と数値計算の応用」
日時
2023年5月27日(土)14時から28日(日)13時まで
会場
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館D棟4階IMIオーディトリアム (W1-D-413)
オンライン(Zoom)でもご参加いただけます. 参加登録をしてくださった方には,オンライン接続情報,及び,現地参加される場合の会場のある建物への入場方法(土日のため,ほとんどの扉は施錠されています)を電子メールにてご案内させていただいております. 参加予定の方で登録がまだの方は,以下のリンクより登録をお願いいたします.

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講演者
赤嶺 新太郎(日本大学)
軸丸 芳揮(東洋大学)
清水 雄貴(東京大学)
田所 勇樹(木更津工業高等専門学校)
集合写真
集合写真1集合写真2
5月27日 (土)

ワークショップ「幾何解析と離散幾何」(Workshop on Geometric Analysis and Discrete Geometry)
第1回「極小曲面・離散曲面への複素解析と数値計算の応用」

  • 14:00 - 15:00

    調和関数の不連続点における挙動と曲面論への応用について

    赤嶺 新太郎(日本大学)

    概要:ユークリッド空間内の極小曲面やミンコフスキー空間内の極大曲面といった曲面は,座標関数が誘導計量に関して調和関数となるため,調和関数論あるいは正則関数論から来る様々な良い性質を備えている.そのような性質の一例として,関数論におけるSchwarzの鏡像の原理は「極小曲面が境界上で線分を持てば,線分に関する180度対称性を持つようにして曲面を実解析的に拡張できる」といった形で,曲面の鏡像の原理を誘導する.このSchwarzの鏡像の原理は調和関数が境界上で少なくとも連続であることを要請しているが,本講演では,調和関数が境界で不連続になる場合に関数や曲面がどのような挙動をするのか,ということを考察する.また,そのような調和関数の境界条件が曲面論において現れる具体的な状況について論じることで,極小曲面や極大曲面,isotropic空間内の曲面に対するある種の境界値問題に関して,解の構成方法や新しいタイプの鏡像の原理が明らかになることを説明する.本研究は藤野弘基氏(株式会社クラフトスコーレ)との共同研究に基づく.

  • 15:00 - 15:20

    質疑応答

  • 15:40 - 16:40

    滑らかな離散極小曲面によるPlateau問題の解の個数の計算

    清水 雄貴(東京大学)

    概要:針金の形状を変えずとも,異なる形状の石鹸膜が張られることがある.それでは,針金の形状から,それが張る石鹸膜の形状には何種類あるか特定できないだろうか.Plateau問題の解の個数の問題において,安定な極小曲面やgenericには解は有限個であるが,そうでない場合には解の有限性自体が難問であり,具体的な個数が得られているのは,現状では特定の境界に関する場合のみに限られている.こうしたなか,数値計算の活用により境界形状と解の個数の関係性を見出すことが期待される.本研究では,基本解近似解法と呼ばれる数値解法を用いることで,与えられた単純閉曲線を張る全ての極小曲面を求める数値解法を提案する.有限要素法を基礎とする通常の意味での離散極小曲面は領域内部での離散化を伴うのに対し,本研究で提案する離散極小曲面は境界を含む領域上で滑らかであり,さらにそれ自体が調和写像であるという特徴を持つ.本講演では,滑らかな離散極小曲面の構成方法とその収束解析を述べたのち,いくつかの数値例を通じて,境界形状と個数の関係性について論じる.本研究は榊原航也氏(金沢大学)との共同研究に基づく.

  • 16:40 - 17:00

    質疑応答

  • 5月28日 (日)
  • 10:00 - 11:00

    離散複素解析における非線形O(3)シグマ模型

    田所 勇樹(木更津工業高等専門学校)

    概要:本講演は関口昌由,鎌田勝(木更津工業高等専門学校)との共同研究に基づくものである.Mercatは閉曲面上の4角形分割に離散複素構造を導入し,離散リーマン面を定義し,周期行列を導出するアルゴリズムを与えた.この離散複素構造は通常の複素構造と類似性があり,セル分割を細かくしていくと,閉曲面の複素構造に近づいていくものである.さらに,BobenkoとGüntherは,Mercatの離散リーマン面をより精密に扱った.O(3)シグマ模型とは,球面からそれ自身へのなめらかな写像から定まる汎関数によって記述され,この汎関数はエネルギーともみなせる.
    平面4角形グラフ上の離散リーマン面を考える.その頂点上の複素数値関数およびO(3)シグマ模型から定まる,重み付き離散ディリクレエネルギー(以降,離散エネルギー)と重み付き離散面積(以降,離散面積)を定義し,それらの間の不等式の導出について説明する.これはBelavinとPolyakovの不等式の離散版とも言える.対角線が直交する一般の4角形グラフに対して,離散(反)正則関数が,離散エネルギーから導かれるオイラー-ラグランジュ方程式を満たすことについても述べる.
    また,特別なひし形格子上において,離散面積は離散べき関数の写像度とみなすことができる.さらに,格子間隔を0に近づけた際に,離散エネルギー,離散面積,オイラー-ラグランジュ方程式がそれぞれ連続な対応物に近づくことについても紹介したい.

  • 11:00 - 11:20

    質疑応答

  • 11:30 - 12:30

    力学的合理性や施工性を両立する構造設計のための曲面の微分幾何

    軸丸 芳揮(東洋大学)

    概要:建築におけるシェル構造・膜構造は,軽量ながら大空間を覆うことができるという利点をもつ.実際の形状設計においては,荷重を合理的に伝達し,かつ施工性に優れる形状を効率よく生成するという,複数の要請を同時に達成する手法を検討する必要がある.一方,ある種の力学的特性を担保する膜形状は,釣り合い条件が「よい性質を保存する」曲面の変換理論と整合することが発見され,現代的な数学の理論に基づく異分野連携の強化,および深化が求められている.本講演では,望ましい力学的特性を担保する形状設計に現れる極小曲面や平均曲率一定曲面,あるいはより一般の曲面のクラスについて,膜の釣り合いに関する基本理論から解説し,構造設計分野との連携研究に基づく形状生成事例について紹介する.他方で,数学による抽象化の恩恵により,膜の釣り合い式に別の解釈を与えることで,トラス構造の生成に用いることができる事例についても紹介する.

  • 12:30 - 12:50

    質疑応答

  • 12:50 - 13:00

    Closing

世話人
小磯 深幸(九州大学)
軸丸 芳揮(東洋大学)
松下 尚生(九州大学)
助成
JST CREST[数理的情報活用基盤]設計の新パラダイムを拓く新しい離散的な曲面の幾何学

ー 問い合わせ・連絡先 ー
〒819-0395 福岡市西区元岡744
九州大学マス・フォア・インダストリ研究所
小磯 深幸
E-mail:koiso"at"imi.kyushu-u.ac.jp("at"は@に変更してください)